
「障害年金って何?」「初診日って、どうやって調査するの?」「初診日がわからないんだけど、嘘をついたらまずい?」
このように思って、あなたはこのページにたどり着いたかもしれませんね。
障害年金の初診日とは、障害の原因となった傷病について、はじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。
「たぶんこの日」というわけにはいけないため、客観的な証明が必要になります。障害認定医に審査をしてもらう必要があるのです。
「めんどうだな」「自分の場合、いろいろと事情があって、初診日がわからないんだけど……」など、困ってしまう人も多いでしょう。
そこでこの記事では、障害年金の手続きで重要な「初診日」について、10年以上障害年金の業務に携わってきた、社会保険労務士が解説していきます。

初診日がなにより重要なんです!
障害年金の手続きの初診日とは?重要な理由を解説
前述のとおり、初診日というのは傷病の診療を受けた日のことです。ただし、次のような要件があることに注意が必要です。
・初めて診療を受けた日
・転医があった場合、さかのぼって最初に診療を受けた日
・過去の傷病が再発した場合は、再発後最初に診療を受けた日(場合によっては再発前の初診が初診日になることもあります。)
・たとえ誤診であった場合も、誤診されてしまった診療を受けた日
・障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の診療を受けた日
このほか、「生まれつきの障害は出生日」「発達障害は自覚症状があって診断を受けた日」など、様々な基準があります。
「ややこしいな」と思うかもしれませんが、適切な障害年金を受けるために必要な決まりなのです。
では、なぜ初診日が必要なのか?という点についても解説していきます。
障害年金の初診日が必要な理由
障害年金請求において、まずは初診日がどこであるかを明確にしないといけません。
なぜなら、初診日に、厚生年金に加入していたのか、国民年金に加入していたのか、はたまた20歳前で未加入であったのかにより、障害厚生年金での請求なのか、障害基礎年金での請求なのかが決まるからです。
さらには、次の点も判断されます。
・初診日の前日においての保険料納付要件(初診日の属する月の前々月までの直近1年に未納がないかどうか
・または、全体で3分の1以上の未納がないかどうか)が満たされているか
これらも初診日を基準に判断します。
厚生年金の場合は、初診日から1年6ヶ月目の障害認定日の属する月までの報酬の額により、年金の額も決定します。
こうした様々な判定が「初診日がいつなのか」を基にしているため、どうしても必要になるのです。
障害年金の手続きの流れ|診断書作成や申立書って?
障害年金受給の手続きは次のような流れになっています。
1. 初診日を調べる
↓
2. 医師に診断書の作成を依頼する
↓
3. 「病歴・就労状況等申立書」を作成する
順番に説明していきますね。
初診日を調べる
その傷病について、はじめて医師に診てもらった日が初診日になります。「ずっと同じ病院で診てもらっている」という場合は、比較的簡単に特定ができます。
ですが、ここで問題になるのが、通う病院が変わっている場合です。医療機関が変更になっているときは、はじめの病院で「受診状況等証明書」を書いてもらう必要があります。
あるいは、カルテが廃棄されてしまったなど、正当な事情で「受診状況等証明書」が手に入らない場合は、かわりに「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を自分で書きます。
医師に診断書の作成を依頼する
初診日が分かり、初診の時点で保険料納付要件が満たされていたという事実がわかった場合、障害年金の手続きに進むことができます。
診断書は全部で8種類あります。
眼の診断書
聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の診断書
肢体の診断書
精神の診断書
呼吸器疾患の診断書
循環器疾患の診断書
腎疾患・肝疾患・糖尿病の診断書
血液・造血器・その他の診断書
請求する時期に応じて枚数も変わるので、注意しましょう。
「病歴・就労状況等申立書」を作成する
「初診日が分かった」「お医者さんに診断書の作成もしてもらう」という段階になったら、「病歴・就労状況等申立書」を書きます。この「病歴・就労状況等申立書」には、次のような点を書くのが重要です。
・発病の時期
・発病時の状況
・治療の経過
・入院、退院、転院
・治療の中断・再開
・就学や就労の状況
・作業所利用
・ヘルパー利用の状況
・生活でどのような支障がでているのか
盛り込むべき内容が多いのですが、丁寧に書く必要があります。
「病歴・就労状況等申立書」は、障害年金の審査の中でも、とても重要な書類。書き方によっては、障害等級が変わることもあります。適切な受給ができるように、作成のときは慎重に記入してください。
障害年金の初診日の事例|嘘はダメ?カルテ破棄のときは?
たまに「初診日って嘘じゃダメですよね?」とおっしゃる方がいます。当たり前ですが、ダメです(笑)。不正受給になり、仮に受給できても返金することになりかねません。
とはいえ、ご本人としてもなんの悪気もなく、単純に初診日を勘違いをしている方もいます。ここで、次の漫画をご覧ください!
上の漫画のように、話しているうちに誤解に気付き「この話は言う必要もないと思っていた」と言うことがほとんどなのです。
ですが、実際に年金請求上の初診証明の書類(受診状況等証明書)や診断書を入手した後に、「前医にて・・・」という記載が出てきたりすると、書類取り直しや病院に日付の訂正依頼をしないといけないということが発生します。
初診日が間違っていた場合、病院の文書作成料が余計にかかってしまいます。また、新たな書類を入手するためにさらに時間がかかってしまうことも。
中には初診日がずれてしまったことで、保険料納付要件自体が満たされず、そもそも請求ができないということにもなりかねません。注意が必要です。
その一方で、次のようなこともあります。
・基礎年金での請求と思っていたが実は厚生年金の被保険者期間に初診日があった
・保険料納付要件が満たされないと思っていたが、実は保険料納付要件に問題のないところに初診日があった
このように、ご自身にとっては良い方向に話が進む場合もあります。正確な情報を社会保険労務士に伝えながら、慎重に手続きを進めていくのが一番でしょう。
障害年金の初診日のまとめ|とことんお話し聞きます!
上記に述べたように障害年金請求において、初診日がいかに大切かはおわかりいただけたかと思います。
しかし、情報化社会の中で、簡単にインターネットで調べられるからこそ、たとえば、「自分の初診日はここだ!」と、決めつけてお話を始める方が多くいらっしゃいます。
そこが初診日という大前提なので、特になんの疑問もなくなんとなく話を聞いてしまうとそこを初診日と特定して話を進めていってしまいます。
ですが、実はよくよく話を聞いていくと、「もっと前に病院にかかったことがあったが、違う病名を言われた」とか、「なんとなく、しっくりこない診断であったからすぐに病院を変えた」とか、新たな話が出てきたりします。
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