初診の病院は既にカルテ無し 領収証や傷病手当金書類で初診証明し、遡って3級決定
【ご病名】統合失調症(30代 男性)
経緯
日勤と夜勤が混在する勤務が続いた。無理をして働き続けたが、体力・気力ともに限界を迎え、勤務中に嘔吐し、そのまま倒れ込んだ。同僚や上司から精神科の受診を勧められ、当時の勤務先の近くにある精神科を受診したところ、「パニック障害」と診断されました。通院を続けていましたが、最終的には退職して地元に戻ることになりました。
しかし、体調はさらに悪化した。地元の病院で改めて診察を受けたところ、「統合失調症」と診断された。初診からすでに7年が経過しており、最初の病院にはカルテが残っておらず、初診日の証明が取れない状態でした。そのため、障害年金の請求について弊所にご相談いただきました。
結果
障害認定日で障害基礎年金3級決定
確かに最初の病院での受診から7年が経過しており、カルテの保存義務期間である5年も過ぎていたため、カルテが残っていないのはやむを得ない状況でした。しかしながら、この方は非常に几帳面で、書類を丁寧に保管してくださっていました。
具体的には、以下のような重要書類をお持ちでした:
① 初診時の領収証
② 保険調剤明細書
③ 薬局の明細書
④ 傷病手当金支給申請書のコピー
領収証①には病院名と日付が明記されており、初診料の点数も記載されていました。また、保険調剤明細書②と薬局明細書③には、病院所在地に隣接する薬局名が記載されており、処方箋を発行した①の病院名も確認できました。さらに、同一の診断名で傷病手当金を受給していたため、協会けんぽに提出する前の支給申請書④にも初診日が明確に記載されていました。
初診日の医証(診療録等)は取得できなかったものの、これらの補完資料により初診日の証明書類としての十分な根拠を示すことができ、障害年金の認定日請求(遡及請求)も無事に実現しました。その結果、認定日3級という、ご本人さまとご家族にとって非常に満足いただける成果につながりました。
ポイント
領収証、薬局の明細書、お薬手帳なども、受診日を特定できる有効な書類です。これらは初診日の証明資料として活用できるため、特に領収証に「初診料」の点数が記載されていた点は大きな判断材料となりました。また、この方は傷病手当金支給申請書(④)のコピーもお持ちでした。多くの方は、傷病手当金の支給決定通知は保管していても、協会けんぽや健康保険組合に提出する「申請書の控え」までは保管していないことが多いです。しかし、傷病手当金支給申請書(療養担当者記載用)は、医師が記入するものであり、初診日証明における重要な資料となります。こうした書類は、提出前に必ずコピーを取っておくことを強くおすすめします。