当初は保険料納付要件満たされず 一度のみ受診「認知症疑い」が初診日となり障害厚生年金2級(現症日1級)決定

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  3. 当初は保険料納付要件満たされず 一度のみ受診「認知症疑い」が初診日となり障害厚生年金2級(現症日1級)決定(アルツハイマー型初老期認知症)

【ご病名】アルツハイマー型初老期認知症(50代 女性)

経緯

最初はなんとなく物忘れが増え、さらに様子がおかしくなったことから家族が病院へ連れていき、精密検査の結果、上記傷病名が判明した。しかし、家族が病院へ連れて行った時点を初診日とすると、保険料納付要件を満たしていなかった。そのため、何か方法がないかとご家族様が当事務所に相談に来た。

結果

障害認定日で障害厚生年金2級決定(現症日は1級に改定)

当たり前のことですが、保険料納付要件が満たされていない場合、障害年金の請求はできません。この方の場合、ご家族様と共に病院を受診し、アルツハイマー型初老期認知症と診断された医療機関が初診日であると、どれほど重度であっても障害年金の請求はできない状況でした。障害年金制度では、初めてその症状で医師の診療を受けた日が「初診日」とされます。そのため、診断が確定した病院よりも前に症状を訴えて別の医療機関を受診していた場合には、そちらが初診日となる可能性があります。しかし、ご本人様はすでに短期記憶も困難で、数年前の通院歴などを思い出すことができませんでした。そこで、ご家族様に協力を依頼し、「家族の知らないところで過去に通院していなかったか」を友人にも確認していただきました。その結果、ご家族と一緒に病院へ行く前に、親友の方と神経内科を一度受診し、「認知症の疑いがある」と言われていたことが判明しました。その受診は継続治療には至りませんでしたが、その神経内科に確認を取ったところ、カルテが保存されており、ここが真の初診日であると認定できました。この初診日であれば保険料納付要件を満たし、障害年金の請求が可能であることがわかりました。結果として、障害認定日では障害厚生年金2級が決定し、現症日には1級に改定されました。ご家族様からは、「病状が進行する中、今後どうしたらよいか不安だったので、本当に安心した」と、結果に大変喜んでいただけました。

ポイント

障害年金制度では、初めてその症状で医師の診療を受けた日が「初診日」と定められているため、診断が確定した病院よりも前に同じ症状で受診していた経緯があれば、最初に受診した医療機関が初診日となります。この方の場合、普段の様子を心配したご友人様が、半ば強引に物忘れ外来へ連れて行ったという経緯があり、結果的にその医療機関での受診が初診日と認定されました。受診当時は継続的な通院には至らなかったものの、このご友人様の行動が後の障害年金請求に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。保険料納付要件で壁にぶつかったときには、「もっと前に初診とされる受診歴がないか」を丁寧に確認することが、障害年金請求を成功させるために非常に重要です。