当初障害基礎年金2級(有期5年)だったが、再審査請求で永久認定1級に変更

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  3. 当初障害基礎年金2級(有期5年)だったが、再審査請求で永久認定1級に変更(脳性麻痺)

【ご病名】脳性麻痺(60代女性)

経緯

脳性麻痺(小児麻痺)で子供の頃にいくつかの病院を受診したが、治るものではないとされ、その後は受診しなかった。これまでにも就労経験はほとんどなく、自宅で静かに暮らしていた。しかし、母親ががんの末期となり、母親の担当ヘルパーが介入した際、家庭の状況や60代の娘の症状を見て、このままでは母亡き後の生活が大変になると判断され、各支援機関に連絡が入った。そこから多方面の支援につながった。障害年金については、相続の件で関わっていた司法書士から当職に連絡があり、申請支援へと進んだ。

結果

当初は事後重症で障害基礎年金2級決定。その後、審査請求、再審査請求を経て、障害基礎年金1級に等級変更

小児麻痺は初めて扱う症例であったため、病気について調べたところ、この方はアテトーゼ型といわれる脳性麻痺であることがわかりました。肩こりや首の痛みだけでなく、四肢のしびれ、運動障害、歩行障害などの症状も抱えていらっしゃいました。歩行のしづらさは健康な方でも加齢により起こりうるものですが、脳性麻痺、特にアテトーゼ型の場合は不随意運動によって意思とは関係なく体が動いてしまうため、頸椎の神経を損傷しやすく、これらの症状を発症しやすいこともわかりました。

主な症状は肢体不自由と言語障害で、長年にわたり徐々に悪化していました。不自由ながらも最低限必要な動作(着替えやトイレなど)は工夫しながらゆっくりとご自身で行っていましたが、近年は自分だけではままならない状態に陥り、現在はヘルパーを利用されています。言語についても2年ほど前から発しづらくなり、言葉が出てこなかったり、発語が不明瞭であったりといった状況で、短時間で的確に意思疎通を行うことは難しく、急かされるような場面では会話が成り立たない様子でした。

当初は障害基礎年金2級(有期5年)の決定を受けましたが、状況から1級相当の障害状態であると判断し、弊所で審査請求および再審査請求を行いました。その結果、障害基礎年金1級(永久認定)が決定しました。審査請求や再審査請求の結果が出るまでは時間を要しましたが、最終的に安心して生活ができるようになったと大変喜んでいただけました。

ポイント

裁定請求をして決定を受けた場合、その決定を知った日の翌日から3か月以内であれば不服申し立てを行うことができます。さらに、その審査請求の結果にも納得がいかない場合は、審査請求の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に再審査請求を行うことができます。

もちろん、なんでもかんでも不服申し立てをすればよいというものではありませんが、ご納得のいかない結果になった時は、不服申し立て制度を利用することで結果が覆る可能性もあります。その際には、単に「納得できない」と訴えるだけでなく、実際の病状がどのような状況にあるのかを示す医師の意見書や、客観的な状況を判断できる資料を添付し、何が事実と異なるのかを主張することが大切です。

場合によっては、医学的文献、認定基準、過去の判例などを参考資料として添付することもあります。そのため、審査請求や再審査請求を行う際には、障害年金に詳しい信頼できる専門家に相談されることをお勧めします。