うつ病で自殺未遂。一度不支給決定を受けるも審査請求で覆り1級が決定
【ご病名】うつ病(60代 女性)
経緯
元々肢体に病気があった(当時は障害年金の対象には該当しない程度だ)。様々な理由で精神的に追い込まれ、飛び降り自殺未遂で脳挫傷を発症した。現在は後遺症で身動きも取れず、会話もできない状態だ。障害年金の対象にならないかと、ご主人からの連絡があった。
結果
不支給決定から障害認定日で障害基礎年金1級決定
ご主人からのお話によると、その当時、継続して精神科を受診しておらず、持病で通院していた病院で不眠薬や抗うつ薬が処方されていた経緯があります。複数の精神科を受診しましたが、本人は継続受診を拒み、家族が説得して精神科の継続受診を促すことを検討していた矢先のことでした。自殺未遂か事故等、別の要因なのかは明確な遺書がなく、前後の経緯や状況から自殺未遂であろうとの立ち会った警察の確定判断がありました。現在、ご本人は会話ができない状態であり、ご本人からのヒアリングはできませんでした。そのため、周囲からの情報が現在得られている内容です。調べた結果、「飛び降り自殺未遂をした日」を初診日としてしまうと、国民年金保険料の納付要件が満たされず、年金請求ができないことが判明しました。持病でかかっていた病院から不眠症の薬を初めて処方された日を初診日とすることで、「保険料納付要件」が満たされ、請求が可能となることがわかりました。そこで、うつ病があって飛び降り自殺未遂をしたため、「精神的な病気としての初診日(初めて不眠症の薬が処方された日)を初診日として請求する形にし、当時の担当医師に「うつ病としての精神の診断書」と「脳挫傷の肢体の診断書」の2枚の診断書作成を依頼しましたが、担当医師は、その身動きが取れない状況が「うつ病で気力が無く動けない」ためなのか、「脳挫傷後遺症のため体を動かせず動けない」ためなのかがわからないと説明し、「詳細不明」という診断書しか書けないとのことでした。
「動けない」のか「動かない」のかが不明なことは理解できます。最終的には、一度不支給決定を受けたものの、「うつ病と自殺未遂に相当因果関係がある」と認められ、審査請求で覆り、障害認定日で1級が決定しました。
ポイント
飛び降り自殺を起こすほどの精神状態であれば、通常は精神的な疾患を発症していると考えられます。実際、うつ病(その前には不眠症状)で病院にかかっていたため、その精神的な症状で初めて診療を受けた日を初診日として認めるべきです。