10年前の神経症(厚生年金加入中)の初診日が認められて障害厚生年金で3級が決定
【ご病名】うつ病(50代 女性)
経緯
会社でのストレスから身体の不調を感じていた頃に事故に遭遇した。そのショックで心身の不調がさらに悪化し、精神科を受診してパニック障害と診断された。その後、退職して引きこもりがちな生活となり、焦燥感や不安感も強まった。さらに身内の不幸が重なり、精神状態は一層悪化した。同じ病院に通院を続けていたが、この時を境に診断名はうつ病へと変わった。障害年金の請求方法に行き詰まり、弊所へ相談があった。
結果
事後重症で障害厚生年金3級決定
時系列を精査すると、パニック障害の初診は10年以上前であり、うつ病と診断名が変わったのは約5年前でした。パニック障害の初診時は厚生年金加入中で、うつ病と診断を受けた時点では国民年金加入中でした。
障害年金の初診日は、原則としてその症状で初めて医師の診療を受けた日を指し、診断確定日ではありません。特に精神疾患においては病名が途中で変更されることがよくありますが、そのたびに初診日が変わるわけではなく、最初に精神症状で受診した日が初診日とされます。
しかし、この事例では担当医師が「うつ病の初診は5年前」と譲らず、診断書に記載された初診日が制度上不適切な内容となっていました。年金制度における初診日の考え方を医師に説明しましたが受け入れられず、このままでは障害厚生年金での請求ができないという状況でした。
そこで、まずは医師の主張に基づいた診断書を取得し、その上で実際の初診日の根拠となる障害者手帳取得時の診断書写しや、当職が経緯を記載した意見書を添付して請求しました。その結果、10年以上前の厚生年金加入中の初診日が認められ、事後重症による障害厚生年金3級が決定しました。厚生年金での決定を受け、ご本人には大変喜んでいただけました。
ポイント
年金制度と医学的な見解では、初診日や発症時期、症状固定の考え方に若干の違いが生じることがあります。障害年金はあくまでも年金制度に基づく手続きですので、医師には丁寧に制度の考え方を説明し、ご理解いただくことが最も望ましいといえます。
しかし、どうしてもご理解いただけない場合には、まずは医師に診断書をご記入いただき、そのうえで事実に基づいた時系列を申立書などに詳細に記載し、最終的には年金機構の審査に委ねるという方法もあります。