【初診日からわずか3日後に障害認定日になった事例(大動脈弁輪拡張症等)】

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身体のご病気『心臓』

【初診日からわずか3日後に障害認定日になった事例】

◆ご病名 大動脈弁輪拡張症・高度大動脈弁閉鎖不全症・左総腸骨動脈瘤 50代男性

職場で今まで経験したことの無いような強烈な胸の痛みがあり、意識を消失して倒れ救急搬送。心エコー等の精査の結果、大動脈弁の拡大が判明した。
その3日後には「人工弁置換術」と「人工血管挿入術」を受け、さらに翌月には「ステントグラフト挿入術」も受けていた。
親戚から障害年金に該当するのではないかと聞き、弊所にご相談いただいた。

◆結果 障害認定日 障害厚生年金3級決定

最初に意識消失して緊急搬送された初診日からわずか3日後に手術を受けていますので、この方の場合、この手術を受けた日が障害認定日になります。既に障害認定日から1年以上経過していたので、障害認定日から3か月以内の症状の診断書と現在の症状の診断書の2枚の診断書を提出して障害認定日請求をし、障害等級3級が遡って決定しました。

◆ポイント

障害年金制度では、初診日から1年6か月を経過した日を障害認定日としますが、この障害認定日より前に症状固定などが認められる特例がいくつかありますが、心臓のペースメーカーの挿入、人工弁置換、人工血管等もその特例の一つです。上記の場合、初診日からわずか3日で障害認定日となったということになります。

【過去にも脳血管疾患あったが因果関係無しと判断されて認定日3級決定(右視床出血)】

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身体のご病気『肢体』

【過去にも脳血管疾患あったが因果関係無しと判断されて認定日3級決定】

◆ご病名 右視床出血 60代男性

なんとなくの足元のふらつきから始まり、職場の仲間からもすぐに病院に行くべきだと言われ、救急車を呼んでもらった。上記傷病名と診断され、急性期病院を経てリハビリ専門病院に転院。現在はB型事業所で軽作業を行なっており、当該事業所の関係者から障害年金請求を勧められたとのことで弊所にご連絡いただいた。

◆結果 障害認定日 障害厚生年金3級決定

今回の傷病の約10年前にも左脳梗塞を発症していた方でしたので、診断書の既存障害の欄にそのことが書かれていました。一度年金機構に書類提出をした後にこの10年前の傷病と新たに発症した傷病の因果関係について確認が入りましたので、10年前から今回の傷病発生までの状況を細かく記載した申立書を追加提出しました。
実際に10年前の左脳梗塞は非常に軽いもので、その後も通常通りの生活をしていたということであったため、追加の申立書にはこの10年間の通常通りの日常生活や就労状況もきちんと記載しました。また、診断書自体も10年前の傷病と今回の傷病は別のものであるとして記載がなされていました。結果、この度のご病気で救急搬送された日を初診日として認められ、障害認定日で障害等級3級が決定しました。

◆ポイント

この方の場合、最初は左脳梗塞、次は右視床出血であったので、部位も症状も別でした。しかしながら、同じような場所に脳梗塞を複数回発症する方もいらっしゃいます。また、脳梗塞の種類も心臓にできた血栓が流れてきて詰まる心原性のものもあります。最初の脳梗塞と、次の脳梗塞に因果関係があるのかないのか、また、心原性の脳梗塞の場合は心臓で何かしら病院にかかっていなかったかなど、初診日は個々の状況により変わります。この辺は主治医様にお聞きになり、慎重に進められることをお勧めします。

【1年前に請求し不支給。弊所で新たに請求し3級が決定(重症筋無力症)】

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身体のご病気『肢体』

【1年前に請求し不支給。弊所で新たに請求し3級が決定】

◆ご病名 重症筋無力症 40代女性

6年程前、物が二重に見える、かすむという目の不調と、声のかすれ等の体調不良があらわれた。いくつかの病院を受診しても原因がわからず、最終的には大学病院で確定診断に至った。徐々に症状の悪化がみられたため、1年前に専門家に依頼し年金請求したが、不支給決定を受けた。同じ病気関係の友人から弊所のことを聞き、もう一度年金請求をしてみようと考えた。

◆結果 事後重症 障害厚生年金3級決定

一度請求をし、不支給を受けたとのことで、まずは初回に提出した書類のコピーを拝見させていただきました。
診断書の内容自体、年金の対象になるような内容ではなく、かなり程度が軽いように見受けられました。しかしながら、提出された申立書だけがかなり悪く書かれており、その診断書内容とかなり乖離があるように見えました。そのため、ご本人様から現在の就労状況、生活状況を今一度しっかりとお伺いし、それを反映した診断書を改めて記載してもらい、申立書もご本人様の生活状況を具体的に反映した内容で作らせていただきました。事後重症3級が決定し、「一度不支給だったから今回もダメかと思っていた」と、その結果にご満足いただけました。

◆ポイント

申立書は、ただ「悪く」書けばいいものではありません。診断書と申立書にあまりに乖離があるのもよくありません。申立書は、必要以上に「悪く」書くのではなく、現在の状態をしっかりとわかってもらうため、事実に基づいて、具体的に記載します。

【転倒で骨折 認定日は初診日からわずか8日後の人工骨頭挿入術の日(右大腿骨頸部骨)】

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身体のご病気『肢体』

【転倒で骨折 認定日は初診日からわずか8日後の人工骨頭挿入術の日】

◆ご病名 右大腿骨頸部骨 50代男性

路面凍結の自宅前で転倒。まったく起き上がることができず救急搬送。すぐに手術が必要な状態であると言われ、8日後に人工骨頭挿入術をした。病院側は、「障害年金の対象になるかも?ならないかも?認定基準が厳しくなって変わったかもしれない?」とはっきりした案内がなかったため、病床からご連絡。

◆結果 障害認定日 障害厚生年金3級決定

初診日から1年6ヶ月を経過していなくても、人工骨頭、人工関節を挿入した日を障害認定日として請求することができますので、この方の場合、事故後すぐに手術をした8日目が認定日となり、請求できました。
また、現行の障害認定基準では、「一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。」とありますので、原則3級となります。
以前は、2関節以上に人工関節等を入れると2級になるという時代があったので、病院様はそのことを思い出し、「認定基準が厳しくなったかも?」と仰ったのかもしれません。

◆ポイント

上記のように、人工関節、人工骨頭は原則3級です。しかし、認定基準の中には、「ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。」とありますので、人工関節等をいれても不具合が多い場合は2級になる場合もあります。

【脳血管疾患 初診から6ヶ月経過後医師が症状固定と認めた日で請求(左被殻出血の術後)】

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身体のご病気『肢体』

【脳血管疾患 初診から6ヶ月経過後医師が症状固定と認めた日で請求】

◆ご病名 左被殻出血の術後 30代男性

ご高齢のご両親様が自分達では手続きが難しそうで何から始めたらよいのかわからないということで相談室を介してのご相談。
ご本人は、ほぼベッドの上での生活を余儀なくされ、移動は車椅子。トイレの立ち上がりも支えがないとできない状態であった。

◆結果 障害基礎年金 (初診から6ヶ月経過した日を)障害認定日として1級決定

障害年金は、通常初診日から1年6ヶ月を経過した日を障害認定日とし、この日が過ぎないと障害年金の請求ができません。しかし、脳出血の場合、1年6ヶ月を経過していなくても初診日から6ヶ月経過後であって医師が症状固定と認めた日を症状固定として障害認定日請求ができるという特例があります。
ほとんどベッドの上での生活を余儀なくされており、リハビリをしても改善は困難な状態であるということから、この特例で請求ができるのか、医師に6ヶ月で症状固定といえるのかを確認したところ、症状固定と認められるとのことでしたので、その症状固定の日で診断書を記入してもらうことにしました。ご両親様も当初想像していらした額より1年分多く、まとまった額の年金を受給することができ、少し心に余裕ができたと仰っていただけました。

◆ポイント

上記のように、初診から1年6ヶ月経過していなくても、脳血管疾患の場合、初診から6ヶ月経過後であって医師が症状固定と認めた場合はその日を障害認定日と出来ることになっています。
脳血管疾患の特例以外でも、障害認定日の特例は、心臓ペースメーカーを入れた日、人工関節を入れた日、人工透析を始めて3ヶ月経過した日、人工肛門にして6ヶ月経過した日、在宅酸素を開始した日などがあります。ご不明点がある場合はご相談ください。

【脳血管疾患 障害認定日の特例(初診から6ヶ月経過後症状固定)で認定日請求(左脳出血)】

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身体のご病気『肢体』

【脳血管疾患 障害認定日の特例(初診から6ヶ月経過後症状固定)で認定日請求】

◆ご病名 左脳出血 40代男性

もう少ししたら発症(初診日)から1年6ヶ月経つので、時期が来たら障害年金請求をしたいと、少し早めに就労移行支援事業所からの紹介でご連絡。症状には、片麻痺の不自由さと高次脳機能障害があった。

◆結果 障害厚生年金 (初診から6ヶ月経過した日を)障害認定日として3級決定

障害年金は、通常初診日から1年6ヶ月を経過した日を障害認定日とし、この日が過ぎないと障害年金の請求ができません。しかし、それにはいくつかの例外があり、例えば脳出血の場合、1年6ヶ月を経過していなくても初診日から6ヶ月経過後であって医師が症状固定と認めた日を症状固定として障害認定日請求をできる場合があります。
そこで、それまでの経過を確認したところ、障害者手帳についても初診から6ヶ月で症状固定として申請しており、医師も6ヶ月経過時点を症状固定とするはっきり仰っていたことから、初診から6ヶ月時点の診断書(肢体の障害用)を入手して障害認定日請求し、当初、ご本人が思っていらしたより約1年分多く年金を受給することができました。
そして、もう一つの症状である高次脳機能障害については、6ヶ月時点での症状固定とは認められないため、1年6ヶ月を待って請求。こちらについては、上位等級とは認められず、結果的にそのまま3級が継続という形になりました。

◆ポイント

上記のように、初診から1年6ヶ月経過していなくても、脳血管疾患の場合、初診から6ヶ月経過後であって医師が症状固定と認めた場合はその日を障害認定日と出来ることになっています。
脳血管疾患の特例以外でも、障害認定日の特例は、心臓ペースメーカーを入れた日、人工関節を入れた日、人工透析を始めて3ヶ月経過した日、人工肛門にして6ヶ月経過した日、在宅酸素を開始した日などがあります。

【3級受給中、症状悪化のため額の改定請求で2級に(原発性免疫不全症候群)】

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身体のご病気『その他難病』

【3級受給中、症状悪化のため額の改定請求で2級に】

◆ご病名 原発性免疫不全症候群 60代男性

以前より障害厚生年金3級を受給中。最近、倦怠感が強く、免疫力の低下から様々な症状もあらわれた。額の改定請求を希望してご相談。
なお、この時点では厚生年金の被保険者であった。

◆結果 障害厚生年金 額の改定請求で3級から2級に改定

疲労感が強く、ほとんど仕事はできていないということでしたが、ご子息の会社であったため、かろうじて在籍を続けているとのことでした。そういった事情も加味してもらうため、現在の就労状況、家庭での日常生活状況をまとめたものも診断書に添えて提出しました。
結果が出た頃は、かなりお辛そうな状態でしたが、2級に改定されてまずはよかったと仰っていただけました。

◆ポイント

在籍していることだけをもって年金の対象にならないことはありませんが、「働くことができている状態なのかどうか」は非常に重要な観点です。実際のところはどうなのか(在籍しているだけで働くことができていない、休職中である、休みがちである、会社から配慮を受けている等)、特別な事情がある場合はなんだかの手段で年金請求時に伝えるというのも一つの方法です。

【子が遺伝性難病であることから保因検査を行い、保因者であることが判明、その後発症(筋強直性ジストロフィー)】

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身体のご病気『その他難病』

【子が遺伝性難病であることから保因検査を行い、保因者であることが判明、その後発症】

◆ご病名 筋強直性ジストロフィー 40代女性

自身の子が遺伝性難病であったため、保因検査を行ったところ、自身が保因者であることがわかった。その時点では自覚症状はなし。その後、少しずつ体調に変化があらわれ、通院を開始。ここ数ヶ月で進行が顕著になってきたため、障害年金請求を決意。

◆結果 事後重症 障害基礎年金2級決定

遺伝性のご病気ですが、大人になるまで一切症状はなく通院歴もありませんでしたので、初診日は、自身の子のために、自ら保因検査をした日として請求しました。また、当初は、子供の受診のついでに自身も診てもらっていたということでしたので、小児科専門の病院で初診の証明(受診状況等証明書)を取得しました。その後、症状が進み、請求時点では総合病院で診てもらっていたため、現在の症状については、当該病院で診断書を依頼。最新の症状をもって事後重症で決定しました。

◆ポイント

18歳年度末までのお子様がいらっしゃる場合、2級以上に該当すると、「子の加算」がつきます。この方は、お子様が障害をお持ちであったため、「子の加算」については、お子様が20歳に達する日まで延長してつきます。ですが、実務上は、18歳の年度末のところで今一度お子様の障害状態を提出し、障害状態を確認してもらわないと20歳に達するまで子の加算の延長がなされません。年金が一度決定した後も、更新、確認と提出することがあるので、注意が必要ですね。

【遺伝性の原疾患からの全身症状と知的退行あり(色素性乾皮症)】

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身体のご病気『その他難病』

【遺伝性の原疾患からの全身症状と知的退行あり】

◆ご病名 色素性乾皮症 原疾患による重度知的障害 20代女性

20歳になったので、上記傷病名で障害年金用診断書(その他障害用)を医師に書いてもらい、途中までお母様が請求。しかし、「障害年金用診断書(その他障害用)のみの提出では判断ができないので、知的障害については、障害年金用診断書(精神の障害用)も出すように」と年金機構から指示が来て、精神の診断書をどこの病院にどのように書いてもらえばよいのか、また、申立書はどのように書けばよいのか、混乱してしまい、相談室を介してご相談。

◆結果 障害認定日 障害基礎年金1級決定(永久認定)

日光に当たると非常に激しい日焼けの症状が現れてしまう難病の色素性乾皮症。この遺伝性の疾患により、知的退行していくという特徴もあるご病気です。当初、行政機関とのやり取りで「その他障害用」の診断書を使ってお母様が請求を進めていましたが、お話しを伺うとご本人には、原疾患による重度知的障害があり、この状態も反映した診断書も提出しないと的確に判断してもらえない可能性があるとわかりました。
そこで、改めて定期的に通院している大学病院の医師に重度知的障害の症状を精神の障害用診断書に記載してもらうように依頼し、できあがった重度知的障害の診断書も追加提出。さらには、重度知的障害による日常生活の不自由な点についても細かく申立書に記載しました。結果的に、更新の必要のない(数年単位に診断書を提出する必要のない)永久認定の1級が決定しました。

◆ポイント

症状が重度であっても判断をする材料がなければ年金機構側も適正な認定ができません。原則的に、1つの傷病に1枚の診断書を提出しますが、その症状が多岐にわたる場合は、ご本人の障害状態を的確に判断してもらえるよう、複数の種類の診断書を出すこともあります。また、永久認定か定期的な診断書の提出が必要な有期認定かは大きな違いなので、しっかり状態を反映した診断書を提出するとよいです。

【生後間もなく病名判明、大人になってから状態悪化での請求(単心室症)】

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身体のご病気『心臓』

【生後間もなく病名判明、大人になってから状態悪化での請求】

◆ご病名 右腎癌 転移性肺腫瘍 単心室症 40代女性

生後間もなく、産院で息遣いの異常を指摘され、退院後、すぐに大きな病院へ行くように指示された。そこで非常に珍しい「単心室症」であることが判明。以後、幼少期と小学生時に2回に分けて手術を受けたが、周囲の温かい配慮やサポート(遠足や体育、運動会は見学等)で学校生活はなんとか行なっていた。大人になってからも通院しながら安静に過ごしていたが、令和2年頃から急に心臓がバクバクするような違和感が強まり、令和3年にペースメーカーを装着。障害年金に該当するのではないかとご相談。

◆結果 事後重症 障害基礎年金2級決定

大人になってからの事例が少ないご病気(つまり大人になるまで生存できている事例が少ないご病気)ということもあり、未だに小児科にかかっていらっしゃるということでしたので、診断書は小児科で書いてもらいました。また、幼い頃から同一の大学病院であったため、障害認定日である20歳に達する日の前後3か月以内の診断書の入手もできました。しかし、心臓の状態が急激に悪くなったのは、令和2年頃からということでしたので、認定日請求をするも、結果的には事後重症(現在の症状)での2級決定でした。「認定日時期(20歳の頃)は最初から厳しいと思っていたので、将来に向かっての年金がついてとても安心した」と仰っていただけました。

◆ポイント

通常のペースメーカー(除細動機能付き心臓再同期医療機器等を除く)を装着した場合、障害年金の認定基準では3級です。そうなると、先天性疾患の方は障害年金2級以上に該当しないと年金がつかないので、請求する前に諦めてしまう方もいらっしゃるのですが、ペースメーカーを入れても、なお、心臓に重大な問題があったり、自覚症状、他覚所見が多くある場合は、2級に認められる場合もあります。